076 私と看護師からみた葬儀 vol.1

フラクタルの元葬儀屋担当、のぞみです。
 
 
『葬儀社さんは決まってますか?』
『お付き合いのある葬儀社さんはありますか?』
 
 患者さんや利用者さんがお亡くなりになったなったときに、そう声をかけたことがある看護師さん、多いかと思います。なかなか他の医療従事者がこう声をかける場面はないんじゃないかと。
 個人的には半分以上のご家族が、ハッとした顔をされているような気がします。思いもよらなかった、的な感じで。
 
 確かに亡くなる前から『亡くなったら葬儀社さんに連絡が必要ですよ。決めておいてくださいね』って言われると、なんとなくドライな印象、冷たい印象を受ける気がします。もちろん、必要だから困らないようにそう伝えているにも関わらず……。特に日本人は死を忌み嫌う民族らしいので、縁起でもない!って怒り出すかたも、もちろん中にはいるかと思うのでタイミングは難しいように思います。
 私はこの間、お看取りの利用者さんがそろそろか……、ってときに、管理者さんに『葬儀社さん決まっているか確認してみても大丈夫ですか?』と聞いてから、話をしてみました。利用者さんご家族の心構えの有無で、少し余裕は違ってくるように思いました。
 
 
Step0  葬儀社を決める
 
 医師が死亡診断をして診断書を書いて、看護師がエンゼルケアを行い、書類の説明が済んで、荷物の忘れ物はないかなどなど諸々の確認事項が終わったあと、バトンタッチをする相手は葬儀社さんです。よって、恐らく看護師さん的には葬儀社さんが決まっていないと、なおかつ霊安室にお迎えに来てくれる時間が決まっていないと困る……はず、ですよね。
 ちなみにこれは余談ですが、昔は(今はあまり聞かないけど、地域によってはあったりするんですかね)病院に葬儀社さんが提携していて常駐して、霊安室への移送~ご自宅までの安置(寝台車で連れて帰って、お布団に寝かせる)までをお手伝いしていた葬儀社さんも多かったようですが、さも病院職員です!みたいな顔をして、そのまま葬儀の打ち合わせをしてしまう(断りづらいですよね、折角自宅まで連れて帰ってきてくれたひとにそのまま「帰ってください」とはなかなか言いにくい……まぁ葬儀社さんもそれを狙ってるんでしょうけど……)、悪徳葬儀社さんも多かったそうです。
(私が勤めた葬儀社も、病院も、そのようなことはしてなかったです)
 
 なにはともあれ、取り敢えず葬儀社さんは決めないといけない。
 そんな中で『看護師さん、ご存じないですか?』とか聞かれたことはないですか?
 
 病棟によっては近隣の葬儀社さんリストみたいなものを作ってあって渡してあげたり、ご自宅周辺の葬儀社さんを検索することを勧めたり、あとは少し年嵩の看護師さんだと『前にこの葬儀社さんの葬儀に参列したことがありますが、良い葬儀をされてましたよ』って伝えてあげてるひとも見たことがあります。若い看護師さんだとちょっと説得力ないですけど……。
 事前に決めているというかたは、互助会(月々葬儀費用を積立している保険のようなものだと思ってください)に入ってる、他の家族の誰かが前に亡くなったときにその葬儀社さんで式をした、または本人が事前に見積り相談に行っていた、相談会みたいなものでパンフレットをもらっていた、などがあるかと思います。
 ちなみに、皆さんご存じナースの大森ちゃん(緩和ケア病棟のナースさん)のnoteでは、葬儀社さんが決まっているかの事前確認や、寝台車に通ってほしいルート、エンバーミングなどの話が書かれていたので是非読んでほしいです!
 
 さて無事に葬儀社さんが決まり、ご家族は電話をかけると思います。どんな時でも死亡診断書は必要になるので、絶対に不備なく、渡してあげてください。
 
 
Step1 安置先を決める
 
 「○○葬儀社の○○と申します。この度はご愁傷さまでございました。お亡くなりになったのは病院ですか?ご自宅ですか?お亡くなりのかたのお名前、生年月日、ご住所、今お電話をかけてくださっているかたのお名前、故人さまとのご関係を教えてください」
 
 なんてことを葬儀社さんは聞きます。
 
「お医者さんに死亡診断書は書いて頂いていますか?」
 
 特にここは重要で、俗に言う不審死の場合は解剖をして死亡診断書ではなく死体検案書を書いてもらわないといけないので、これも必ず確認されるかと思います。ご遺体の搬送時には死亡診断書の携帯が必要(どうやら法律の定めはないそうですが……)なので、ここは大切です。
 
 あとは、自社式場を持っている葬儀社さんだと、
 
「ご安置先はどうされますか?ご自宅ですか?当社の式場でお預かりしますか?」
 
 ってことを聞いています。
ご自宅にご本人さんを連れて帰るスペースに余裕がない場合などに自社式場にご安置するケースがあります。ご自宅でお亡くなりになった場合でも、ご家族が『介護用ベッドでつらい思いをしてたから、いつもの布団で寝てもらいたい』と思って移動をする場合もありました。
 
 自社式場にご安置する場合だと、お預かり料のようなものがかかります。式場のバックヤードにある保冷庫に入っていてもらうことになります。
 また、ご自宅にご安置する場合でも、ご遺体の保全のためにドライアイスが必要になってきます。ドライアイスをお腹(腐敗しやすい臓器)の上に置かせて頂きます。
 どちらも(規定の金額)×(日数)になります。
 
 ご自宅で過ごす場合は、葬儀社のひとが小さい机と、仏式の場合は香呂、燭台、お鈴、お線香と蝋燭を持ってきてくれます。納棺(お棺の中に入ってもらう)をするまで、お通夜の当日まではご自宅にいてもらうことが多いかと思うので、お線香をあげて手を合わせてもらう、親交のあったかたに来てもらいお参りをしてもらうことができます。
 また、元々お寺さまとお付き合いのある場合、枕経と言って納棺の前にお経をあげてもらう場合があるので確認すると良いかと思います。
 
 葬儀社でお預かりする場合でも、もちろん葬儀社の安置室のスペースでお線香をあげてお参りすることができます。しかし式場で通夜葬儀を執り行っている時間帯、スタッフのいない夜間など、ご家族が会いたい時間に必ずお会いすることができないと言うことを伝えて、来られる前に連絡をしてもらうお約束をお願いしているかと思います。
 
 ご安置先が決まって、少し落ち着いたら葬儀についての打ち合わせをさせてもらいます。
 
 まず決めるのはなんでしょう?
棺の種類?祭壇の飾り?返礼品の数?お花の数?お寿司のグレード?
 
 いいえ、火葬場の場所、日時です。
 
 
Step3 火葬場を決める
 
 通夜・葬儀の日程はご家族ご親族、宗教者の予定で決定しますが、どこの火葬場で何時の予約ができるかのほうが優先順位が高いです。火葬場が予約できた日が葬儀式、その前日が通夜式になります。葬儀式の時間はこの火葬場の時間から移動の時間を逆算して、決めています。
 
 基本的には式を行う場所から近い火葬場を予約することになるかと思います。亡くなってから24時間以内の火葬はできません。
(死の三徴候である心停止、呼吸停止、瞳孔反応の停止を確認してるので、ないとは思いますが……いちおう蘇生する可能性があるとのことです)
(新型コロナウイルスの件でニュースになっていましたが、特定の感染症での死亡の場合はその限りではありません)
 
 24時間以降の日時から指定できるのですが、火葬場の混雑状況によっては指定の日付での予約ができないことがあります。ちなみにギョーカイ用語で『釜が取れない』『釜が押さえられない』と言っていました。
 釜が取れない場合で、どうしてもその日付が良い場合だと、近隣の他の火葬場の状況を確認することもあります。
 
 友引(六曜といって、大安とか仏滅と同じくカレンダーに書いてあります)の日は、一部やっていない火葬場があります。『友』だちを、あの世に『引』いてしまうかもしれないので……、という意味です。
(ちなみに葬儀社さんは友引の前の日はお通夜をすることが少ないのめ、お通夜残業がない友引の前の日=トモマエはアフターファイブを楽しめる数少ない日です)
 
 
長くなっちゃった……!
続く……!