精神科における患者さんとの距離感について

体験談

みなさんこんにちは。fractaleの精神科担当、mizuki@おぬです。

 

先日、ナスキャリ部でzoomを使った勉強会をしました。

その時に私が精神科看護についてというテーマで話したんです。その中で患者さんとの距離の取り方が「精神科看護師」らしいなと思ったので、ちょっとその部分を。

 

身体科の看護師が、精神科、特に急性期病棟に配属されると、この「患者さんの距離感」が一番難しいと思います。

私も、精神科慢性期病棟から急性期病棟に移動になった時、ものすごい失敗をしました。

 

慢性期病棟の患者さんに比べ、急性期病棟の患者さんは精神的な興奮が落ち着いたら、特に普通の方と変わらない生活を送ります。それこそ、入院時は大暴れして腕を噛み付こうとした患者さんも、退院時は「あの時はすみませんでした」なんて言って帰られるぐらい、すごい差が激しいんです。

私が急性期病棟に行って半年ぐらい。なんとなく急性期の感覚を掴んできたある夜勤の時。一人の女性患者さんからナースコールが。

「ちょっと、話を聞いてくれませんか?悩みがあって、寝付けそうにないんです」と。

男性である私。男性看護師が女性患者さんに対応する時は、おむつ交換等は必ず女性看護師が、他の用事では複数名で関わります。この方はADL的に自立されていたのでおむつ交換はないものの、一対一で関わるのは私が怖いと思い、病室に伺いましたが、病室のドアを開けたまま、物理的にも患者さんと距離を開けて話しました。患者さんはベッドに腰を掛け、私はちょっと離れた位置に椅子をおいて話しました。

そこでは患者さんが最近悩んでいること、退院してからの楽しみ、両親のこと、主治医のこと・・・たくさんの話が患者さんの口から出てきました。

私もそれに相槌を打ちつつ「退院の日が迫ってきて、うれしそうですね。主治医もあなたの状態はしっかり診ていますよ」とかいう話をしました。

まあ、その言葉はこの人だけにかけることもなく、他の患者さんにもかける言葉ですが。

この日は1時間以上、この患者さんと話しました。そして、そのまま休まれました。

 

なんとなくですが、これ、良い関わりに思うじゃないですか。わたしもそう思っていました。「我ながらよい傾聴ができた。ゆっくり休んでくれたし」と。

その夜勤を終え、そのまま休みへ突入。

 

休み後、出勤すると、その患者さん、退院はおろか、行動制限もかけられ、薬も大幅に変更されていました。

「ん?どうしたの?」と他の看護師に聞くと

「あー、あの患者さんと夜勤の時話した?なんか、すごい妄想になっちゃって、あいつが退院していいって言ったー!あの看護師連れてこい!!許さないからな!!って大興奮しちゃって。だから、しばらく会わないほうが良い」って言われたんです。カルテも確認。うん、僕が休みになった日から僕に対しての発言がすごい。主治医、スタッフ全員に僕に対しての不満をぶちまけている・・・

 

自分としては「良い傾聴ができた」と思った出来事。でも、これ、ただの思い上がり。

患者さんにとっては全くの逆効果の出来事だったんです。

治療も最初からやり直し。主治医には大変申し訳無いことをしたとお伝えしました。

 

精神科看護をやって3年目ぐらいの時。患者さんとの距離のとり方とか、声かけの仕方とか、当たり前のようにできていると思ってたんです。

ところが、全くできていなかった。。。落ち込みましたね。

ただ、これ、急性期だからっていうのもあるんですよね。

患者さんの声を聞けば聞くほど良いみたいな感じがあるじゃないですか。時と場合によっては逆効果だと知りました。とくに急性期では。

たぶんこの時の対応としては「時間を決めて話を聞く」「主治医に言いたいことを言うように伝える」「患者さんの話に同調しすぎない」あたりが正しいと思います。

とにかく妄想をもたれると大変なんです。妄想ってなかなか消すことができません。

この患者さんとはほとんど会わないように仕事をし、その後退院しました。

 

良い仕事をしたというのは思い過ごしで、相手も話を聞いてくれたという満足はあるとは思いますが、その後いろいろな考えと共に妄想になってしまう。

とにかく距離は難しんです。

話を聞けばいいってわけではありません。安易に「わかる、わかる」の言葉がけも時としては妄想の対象になります。

そして、自己満足の仕事はしないようにしないといけません。

 

精神科の看護師は時としてドライに見えるのは、このような経験をした結果かもしれませんね。

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